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【2023年卒版】内定保有者の選考・内定辞退状況から見る辞退防止策

【2023年卒版】内定保有者の選考・内定辞退状況から見る辞退防止策

昨今の売り手市場化の進行に伴い、選考・内定辞退に課題を感じる企業も多いのではないでしょうか?
今回のコラムでは、HR総研の調査データをもとに、選考・内定辞退状況と今後の辞退防止策について解説します。

※出典:HR総研「2023年卒学生の就活動向調査」(https://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=2926)

応募後の選考辞退状況

まずは、2023年卒学生における選考辞退状況を見ていきましょう。

同社の調査によると、選考辞退を1社以上した学生は全体の7割程度に上ります。
また文理で比較すると、「3社」までは理系のほうが多く、4社以上は文系が多いという結果になりました。これは、文系の方が就職活動における活動量が多い傾向にあるため、相対的に辞退社数が多いことが考えられます。

また、学生の選考辞退理由を見てみると、「より志望度の高い企業での選考が通過した」「応募後に再考し、自分に合わないと判断した」「ネット上で、あるいは知り合いから良くない口コミを聞いた」「面接官の印象が良くなかった」の順となりました。

志望度の違いや企業とのマッチング度を理由とした辞退については、仕方のない面もありますが、評判・口コミや面接官の印象を理由とした辞退については、企業としてしっかりと対策を講じる必要があるでしょう。

2023年卒学生の内定保有状況

次に、文理別の内定保有状況を確認しましょう。

まず、文系全体の内定率は81%となっています。また、内定社数の最多は「1社」ですが、「2社」以上の複数内定を保有している学生の割合は50%以上となっています。
次に、理系全体の内定率については文系を上回る88%となっています。また、内定社数の最多は文系と同じく「1社」となっており、「2社」以上の複数内定を保有している学生の割合は、文系よりもわずかに多い55%となっています。

また、内定を付与された時期を見てみると、文系のピークは「2022年5月後半」で、次いで「4月後半」、「5月前半」、「6月前半」が続きます。一方で理系の場合は「2022年4月後半」が最も多く、次いで「5月後半」、「4月前半」、「3月後半」が続いており、文系よりも1カ月程度早いペースで内定を付与されていることが分かります。

そして、内定を付与された企業規模として、「5,001名以上」の超大手企業が文系26%に対して、理系は43%と大きく上回っているなど、大企業比率が極めて高くなっています。

学生が内定承諾~入社までに抱える不安

多くの学生が内定を獲得できている状況ですが、現代の学生は入社までにどのような不安を持つのでしょうか?

内定を付与された学生に対して、「内定承諾を決断することに不安があるか」を聞いたところ、文系では6割、理系では約半数が「不安がある(あった)」と回答しています。
また、内定承諾への不安が「ある(あった)」とする学生は、入社に向けた不安の割合も高くなっており、実に8割にも上っています。内定承諾時の不安があった学生は、その不安を解消できないまま、入社に向けた不安となって残っていることが推測されます。

では、内定者はどんなことに不安を感じているのでしょうか。
多くの学生が抱える不安は「職場メンバーに馴染めるか」「仕事で成果を出せるか」で、文理ともに約半数となっています。また、「配属先」や「生活環境の変化への対応」「給与・福利厚生」に不安を感じる学生も一定数います。
以上を踏まえると、内定辞退防止のためには、先述の不安要素について採用選考の段階から丁寧に説明し、内定者の理解を促すことが重要であることと言えます。

また、内定承諾企業の中に、入社に向けた不安を相談できる社員がいるかについても聞いてみたところ、4割強の学生が「相談できる相手がいない」と回答しています。

調査データを踏まえた今後の対策

選考・内定辞退状況を踏まえると、選考・内定辞退防止に向けて、以下の施策を検討・実施することが重要であることが分かります。

①口コミ・評判のアップ

採用のオンライン化が進む昨今、自社に関するネガティブな口コミは、人材採用において大きなマイナスポイントになりかねません。
その場合は、定期的に既存社員に口コミを書いてもらい、現在の会社の実態を投稿し続けることで総合的な評価を上げるなど、中長期的な目線でテコ入れを図る必要があります。

②面接官の教育を行う

先述の通り、面接官の良しあしによって、求める人材を獲得できるかがどうかは大きく変わります。
また、コロナ禍によって、対面よりも、見極めや動機づけが難しいオンラインでの面接が増加したことや、売り手市場の影響もあり、採用難に悩む中小企業が増加しています。だからこそ、会社として面接官の教育に取り組み、改めて面接の基本手順や、正しい見極め・動機づけのやり方をを理解することで、インターンシップや説明会、求人募集で捕まえた求める人材を離脱させないようにすることが重要です。

③定期的に社員との接点を設ける

内定者期間における最も多い不安として、「職場メンバーに馴染めるか」が挙がっています。社会人経験のない学生は「何の仕事をするか?」以上に「誰と働くのか?」を重要視する傾向にあるため、良好な人間関係を構築できるか?は大きな関心事でしょう。
そのため、内定者期間中に、社員との座談会や会社見学等のイベントを通じて、既存社員との交流機会を設けることが重要です。

また、採用担当者が定期的に内定者との個人面談を実施し、内定者にとっての良き相談相手となることで、内定者が抱える様々な不安の解消に努めることも重要でしょう。

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この記事の監修・筆者

大園 羅文
大園 羅文(株)新経営サービス コンサルタント
「採用・定着コンサルタント」として、中堅・中小企業を対象とした人材採用支援(新卒・中途)、若手人材の定着・即戦力化支援、人事制度の構築・運用支援に従事。 特に、『採用・定着力の強化』を得意テーマとしており、中小企業独自の問題に対する支援を通じて、“若手社員が辞めない・成長する組織づくり”をテーマに掲げている。
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