もくじ
構造化面接と実施メリット
構造化面接とは?
「構造化面接」とは、臨床心理学におけるアプローチのひとつで、「あらかじめ評価基準と質問項目を決めておき、面接をマニュアル通りに実施していく」という手法です。
採用面接の手法としても使われており、自社の採用基準をもとに、見極めるための起点となる質問と、その回答をもとにした質問(掘り下げ質問)を繰り返しながら、客観的に求職者を評価します。世界的なIT企業であるGoogleでも採用面接で導入されていています。
構造化面接の実施メリット
「構造化面接」のメリットとしてまず挙げられるのが、「面接官同士の評価のズレによる優秀な人材の離脱防止」です。
同じ質問・同じ基準で合否判定をするので、面接官による評価のズレが少なくなりますので、会社基準での面接が可能となり、「採用のミスマッチ防止」にもつながります。そして「面接官のスキルや経験に左右されない面接」が可能となります。
また、質問・基準をあらかじめ設定しているので、経験が浅く面接官でも会社が意図した面接が可能となります。
「構造化面接」の実施手順とポイント
「構造化面接」を実施する際にはいくつかの手順とポイントがあります。
STEP1:自社の求める人材要件をもとに採用基準(1点~4点)を設定する
まずは自社の求める人材要件をもとに採用基準の設定しましょう。
例えば、求める人材を「主体性がある人」とイメージした場合、「自ら考え行動した経験が多く、それにより自己成長や成果に繋げていた」という人物は最高点の4点。一方で面接した求職者を「常に受け身な姿勢で物事に取り組んでおり、自ら考え・行動した経験が殆どなかった」と判断したならば最低点の1点となります。
STEP2:採用基準を踏まえて、起点となる質問を設定する
次に、採用基準をもとに、実際に面接する際に「起点となる質問を何にするのか」を設定します。
質問を揃えておくことで、面接官の力量の違いによる情報量のバラつきを抑えることが可能となります。同じように求める人材が「主体性がある人」とした場合で例を挙げれば、「前職においてリーダーシップを発揮して成果を上げたことは?」「学生時代に、自身が中心となって行った取り組みの中で、最も成果を上げたことは?」などの質問が想定されるでしょう。
STEP3:起点となる質問を中心として、掘り下げ質問を繰り返す
3段階目では、起点となる質問を中心として、回答から求職者の素養や能力・スキルを更に見極めるための「掘り下げ質問」を検討します。
この時に「状況質問(situation)」「課題質問(task)」「行動質問(action)」「結果質問(result)」の観点を意識すると良いでしょう。「前職においてリーダーシップを発揮して成果を上げたことは?」との質問を起点とするならば、「その取り組みを行った経緯・背景は?」「具体的などのような取り組みだったのか?」(状況質問)、「その時の目標や課題は何だったのか?」(課題質問)、「その目標や課題に対して、いつ・何を・どのように取り組んだのか?」(行動質問)、「そこから学んだことは?その学びを通じて、今後活かしたいことは?」(結果質問)などになります。
STEP4:評価項目および採用基準(1点~4点)をもとに合否を判定する
最後の4段階目では起点質問と掘り下げ質問を通じて求職者から引き出した情報で、採用基準と照らし合わせて合否を判定しましょう。
「非構造化面接」と「半構造化面接」とは?
ちなみに、「構造化面接」でない採用面接の手法として「非構造化面接」「半構造化面接」があります。
非構造化面接とは?
「非構造化面接」は「構造化面接」とは逆に面接を面接官の裁量に任せ、自由に質問を行いながら、応募者の回答に応じた柔軟な対応を行います。
マニュアル的な面接ではないため、面接官の力量に依存するというデメリットはありますが、求職者に合わせたコミュニケーションが可能となるため、動機づけがしやすいというメリットもあります。
半構造化面接とは?
「半構造化面接」は「構造化面接」と「非構造化面接」のハイブリッド型です。
「構造化面接」のように、採用基準をもとにあらかじめ決めておいた質問を行い、その後は求職者のケースに応じて面接官が裁量を持って自由に質問して対話を深めていく手法です。求職者の回答に対する掘り下げ質問については、一定の裁量があるため、面接官の力量に左右される部分はありますが、「構造化面接」よりも柔軟な対話が成立しやすいため、応募者の素養やスキル・能力を見極めやすいというメリットがあります。