インターンの失敗事例と設計ポイント
2022年08月22日
もくじ
【CASE1】メーカーA社のインターンシップ
Question:A社のインターンシップが失敗した原因は?
下図のプログラムを見てください。こちらは、とあるメーカー様のインターンシップのプログラムです。
プログラム内容を見ると、A社の仕事や魅力を知ることができる内容となっているように思えますが、結果的には学生の満足度が低いインターンシップとなってしまいました。
さて、何が原因でこのような結果になってしまったのでしょうか?
<Answer>学生にとって「参加メリット」がない!
A社がインターンシップに失敗した主な原因は「学生にとって参加メリットが無い」ということです。
学生がインターンシップに参加する目的は参加時期や各人で異なりますが、㈱マイナビの調査によると、「視野を広げるため」「自分が何をしたいのかを見つけるため」「働き方について考えるため」などが挙げられています(※1)。
つまり、多くの学生は「業界(企業)理解」と「自己理解」の2つを主な目的としてインターンシップに参加しています。また、多くの学生は、インターンシップ参加先から就職先の業界や企業を選定していることから、インターンシップの参加を通じて、その企業で自身がやりたいことを実現できるか・またはやりたい仕事になり得るかを判断したいと考えています。
そのため、学生に対する会社のアピールも重要な要素ですが、まずは上記のような学生がインターンシップに参加する
「目的≒“参加メリット”」を見出すことが重要です。
また、学生が自身のやりたいことができるかを企業選択のポイントにしていること考えると、自社の魅力を「伝える」のではなく、インターンシップでのワーク等を通じて“体感してもらう”ことが重要です。
【CASE2】商社B社のインターンシップ
Question:B社のインターンシップが失敗した原因は?
続いては、とある商社様のインターンシップのプログラムです。
プログラム内容を見ると、先輩社員との同行や社内業務の体験など、B社の仕事を体感できる内容となっており、先述した、学生にとっての“参加メリット”はあるように感じます。
しかし、このインターンシップも思うような効果は出ませんでした。
一体、何が原因で成果が上がらなかったのでしょうか?
Answer:ワークや業務体験等で得た学びをアウトプットする機会がない!
B社がインターンシップに失敗した主な原因は「学びに対するアウトプットの場がない」ということです。
確かに、営業同行等で仕事の流れや面白さは体感してもらうことはできたようですが、「体感しただけ」で終わってしまうと、自社の魅力・強み等の訴求が弱く、結果として他社に逃げられるケースが多いです。
そのため、仕事を疑似体験してもらった後は、ワークシート等を用いて、そこで学んだことや仕事のやりがいをアウトプット(言語化)させることで、自社の魅力・強みの訴求力を高めることが重要なポイントとなります。
また、上記のようなアウトプットを作成してもらうのは、「学生目線で見た自社の魅力・強み」を知ることができるなど、企業側にもメリットがあります。なお、業務上、現場見学や同行等が難しい企業は、事例を用いたケーススタディやロールプレイングのようなインターンシップを実施することで、仕事を疑似体験させ、その後の座談会等を通じてフォローすることで、同様に学生の学びを深めることができます。
【CASE3】小売業C社のインターンシップ
Question:C社のインターンシップが失敗した原因は?
最後の事例は、とある小売業様のインターンシップのプログラムです。
プログラム内容を見ると、「業界、仕事理解」「仕事体感」「学びを発表する場がある」など、学生の満足度が高そうなインターンシップです。
しかし、インターンシップの成果を高めるための、ある大事な要素が1つ欠けているため、大きな成果を上げることはできませんでした。
さて、ある1つの要素とは何でしょうか?
Answer:学生のアウトプットに対するフィードバックがない!
C社がインターンシップに失敗した主な原因は「アウトプットに対するフィードバックがない」ということです。
近年の学生は、自分が出したアウトプットが、社会人視点ではどのような評価なのかを気にしている傾向がより強く、㈱ディスコの調査によると、個別フィードバックがあった企業のインターンシップ参加満足度(大変満足)が57.1%であるのに対し、フィードバックがなかった企業の満足度は29.6%となっており、フィードバックの有無によって参加満足度が大きく変わることが分かります(※2)。
また、「社員との接点の有無」も参加満足度に大きな影響があることが分かっています。同社の調査によると、社員との接点が十分にあったと思う企業のインターンシップの満足度(大変満足)が63%であるのに対し、社員との接点がほとんどなかったと思う企業のインターンシップは26.8%でした(※3)。
なお、社員との接点を設ける際は、新入社員や内定者などの若手主体での座談会を設けることをお勧めします。それは、若手主体で座談会を開くことで、学生にとっても質問がしやすく、また社員が会社のことを語ることで会社に対する理解度を高めることができるためです。
3つの失敗事例から読み解く、インターン設計のポイント
成功するインターンシップ設計に向けたチェックポイント ~設計編~
3つの失敗事例を踏まえると、インターンシップを設計する際に意識すべき点は以下の通りとなります。
- 学生にとって参加メリットがある(動機づけできる)インターンシップとなっているか?
- 自社の魅力や仕事のやりがいを体感できるワーク等が入っているか?
- 学生が考えたアウトプットやプレゼンを発表する場は用意しているか?
- アウトプットに対するフィードバックの内容等は適切か?(学生の学びや気付きに繋がる内容か?)
- 社員(特に若手社員)との交流の場はあるか?
上記のチェックポイントは、必要最低限の事項になりますが、成果の上がるインターンシップには必要不可欠な要素と
なりますので、既存インターンシップにおけるプログラムの見直しや、新たなインターンシップ設計の際の観点として
ご活用ください。
成功するインターンシップ設計に向けたチェックポイント ~集客・運営編~
また、以下は、インターンシップにおける集客・運営面でのチェックポイントになります。効果性の高いインターンシップができても、正しい集客・運営ができなければ効果を発揮できませんので、以下のチェックポイントもお役立てください。
<集客面>
- インターンシップのタイトルは学生を動機づけできているか?(他社にもあるタイトルになっていないか?)
- 参加メリットは明確に打ち出せているか?
- 学生が参加しやすい日程・時間帯・開催場所になっているか?(駅から近い・アクセスの良い駅など)
<運営面>
- 採用担当者間で、求める人材や今年の採用方針は共有がなされているか?
- インターンシップで伝える自社の魅力は明確になっているか?(動機づけできる伝え方になっているか?)
- 学生へのフィードバックは適切か?
- 座談会メンバーに、インターンシップの目的や留意点等(学生に伝えて良いこと・悪いことなど)を伝えているか?