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実例で見る!中小企業における人材採用の典型的な間違い

実例で見る!中小企業における人材採用の典型的な間違い

「ヒト・モノ・カネ・情報」という4つの経営資源のうち、企業において最も重要なのは「ヒト」です。しかし、売り手市場の進行によって、「ヒト」に関する悩みを持つ中小企業は年々増加しています。

「募集をしても応募が来ない」「毎年新しい募集方法を試しているが採用コストが膨らむばかりでうまくいかない」「採用目標人数に届かず年々人手不足に陥っている」…。多くの中小企業はこのような悩みを持っています。「ウチみたいな中小企業によい人材は来てくれない」と嘆いている経営者も多いのではないでしょうか。

一方で、無名の中小企業でも、欲しい人材を、欲しい時に、欲しい人数だけ採用している企業が一定数存在するのも事実です。その違いはどこから生じているのでしょうか。

本コラムでは、中小企業の人材採用における典型的な間違いについて、実例を交えて解説いたします。

なぜ中小企業は人材が採れないのか

近年の全国有効求人倍率(求職者1人に対して何社の求人があるか)は、平均で1.31倍(厚生労働省「一般職業紹介状況」)、大卒では1.71倍(リクルートワークス研究所「第40回ワークス大卒求人倍率調査」)です。この数値を中小企業(従業員数300名未満の企業)に限定すると、大卒の有効求人倍率は6.19倍と、全企業平均と比較しても、人が採れない中小企業の実態は明らかです。

では、なぜ多くの中小企業は「人が採れない」のでしょうか?「大企業に比べて知名度がないから」「給料が安いから」。たしかにそれも理由ではあるでしょう。しかし、採用に苦戦する主な原因はそこにあるわけではありません。実はもっと大きな原因があります。

その原因とは、現状に合わない時代遅れの採用活動を行なっていることです。「中小企業だから、そもそもよい人は来てくれない」のではなく、間違った採用活動を実行しているから、人が採れないのです。翻ってみれば、これは中小企業には採用を間違って捉えている会社が多いということであり、この間違いを正せば、中小企業でも大企業に伍して採用できるということに他なりません。

実際に、採用に成功している企業は、「採用の勘所を押さえ、時代に即した戦略的・計画的な採用活動」を取っています。つまり、奇を衒った独自の手法などではなく、採用市場や求職者の動向、現代の若手世代の特徴等を押さえつつ、採用活動における「基礎・基本」を徹底的に遂行した企業が成果を上げているのです。

典型的な間違い①:とりあえず始めて失敗で終わる採用活動

では、中小企業にありがちな間違いとはなんでしょうか。中小企業はどんな間違いを犯しているのか。実例をもとに中小企業の採用における典型的な間違いを実例で見ていきましょう。

中小企業A社では、若手人材の募集に「ハローワーク」や「リクナビ」、「マイナビ」といった採用媒体での求人だけでなく、人材紹介会社やヘッドハンティング会社を活用するなど、毎年さまざまな採用方法を新たに試していました。しかし残念ながら、採用活動にかかる時間・コストが年々増えるだけで、しばらく20代〜30代の人材を採用できていません。

A社が採用活動に失敗している原因は、場当たり的な活動に終始していたことにあります。具体的には、「求める人材像(採用ターゲット)を定めていない」こと、そして「いつ・誰が・何を・どのように行なうのか採用活動プランがあいまい」で、責任の所在も明確ではありませんでした。

このように、多くの中小企業では、従前からの採用活動のやり方にならって、“とりあえず”採用活動を始めて、“なんとなく”求職者からの応募を待つといった、無計画・無責任な採用活動を繰り返しています。どのような人材を採用したいのか「求める人材像」を定めない、場当たり的な採用活動では成功はあり得ません。場当たり的な採用活動では、かける資源と時間が分散してしまうため、もともと採用活動に制約のある中小企業の成功率をさらに下げてしまうのです。 戦略的に考え、計画的に行動しなければ結果は出ません。

また、あらかじめ採用戦略・実行計画を立てていないと、「何がよくて何が悪かったのか」の検証ができないため、採用力の蓄積につながらず、年々コスト・時間ばかりかかるだけの人が採れない企業になってしまいます。私はコンサルタントとして多くの中小企業とご縁をいただいていますが、「採用戦略(勝ちパターン)」の有無に、人材採用に成功している企業と失敗している企業の違いがあると感じています。

採用戦略を策定できれば、中小企業でも、ムダな時間・コストをかけずに、欲しいときに・欲しい人材を・欲しい人数、採用できるようになります。

典型的な間違い②:他人任せの自社PRでは熱意は伝わらない

B社では、求人原稿に仕事内容や給与といった「求人要項」のような必要最低限の情報しか記載していませんでした。自社の魅力・強みや、求職者にとって入社するメリットを感じさせる情報がおざなりでは、「この会社は本気で採用を考えているのか」と訝いぶかられ、熱意も伝わりません。

多くの中小企業では、総務人事部門の社員が本来の業務と兼任で採用活動を行なうケースが多く、物理的に採用活動に割ける時間に制限があるとはいえ、以下①②のような情報提供をしてはいけません。

採用媒体会社が作成した求人原稿をそのまま掲載する

「リクナビ」、「リクナビNEXT」や「doda」、「エン転職」など、世の中にはさまざまな採用媒体が存在していますが、ほとんどの採用媒体では、掲載前に取材を行ない、媒体の担当者やライターが求人原稿を作成します。彼らはその道のプロフェッショナルですが、任せっきりは禁物です。自分の会社のことを社員とライターのどちらが理解しているかといえば、当然、社員のほうであることは疑いありません。

会社の持つ具体的な魅力・強みを、説得力を持って語り、その熱意を求職者に伝えるには、PR原稿は決してライター任せにせず、いったん仕上がったものでも、必ず社員の意見や考えを加えてブラッシュアップさせることが重要です。

伝える文章力はプロのライターのほうが優れていますが、ライターの力に社員の熱意や想いが重ならなければ、求職者の心を動かす文章とはなりません。

過去に作成した求人原稿を使い回す

過去の求人原稿の使い回しは、なかなか人材採用に人員を割けない中小企業ではありがちです。欲しい人材像によっても、時代の変化によっても、求人原稿に求められる情報や自社が魅力的に感じられる情報は変わってきます。

こうしたビビッドな情報をアップデートしていないと、求職者に「刺さる」アピールとはなりません。自社サイトのPV数・応募数などをこまめにチェックし、定期的に原稿内容のリニューアルをし続ける、こういうところに手間ひまをかけることが応募を増やすためには必要なのです。

中小企業の人材採用に必要不可欠な採用戦略とは?

先述した通り、採用戦略を策定できれば、中小企業でも、ムダな時間・コストをかけずに、欲しいときに・欲しい人材を・欲しい人数、採用できるようになります。それでは、そもそも採用戦略とはどのようなものなのでしょうか?

採用戦略とは、「自社を成長・発展させるために必要な人材を、どのような手法・手段を用いて獲得するか」を具体化した戦略です。弊社では、『自社の採用ターゲットの獲得に向けて、今後の採用課題と取り組み事項をもとに、「いつ」「誰が」「何を」「どのような手段で」活動していくのかを見える化したもの』と定義しています。

売り手市場の進行やオンライン化などの採用活動の多様化・複雑化が進む現代の人材採用において、自社が人材獲得競争を勝ち抜くためには、求人原稿の修正や面接方法の見直しなどのマイナーチェンジだけでは限界があり、抜本的に採用戦略を見直す時期にあります。採用戦略の構築手順やポイントについては、別のコラムで詳しく解説しておりますので、ぜひご参考ください。

◇◆採用戦略を立てる4つのフロー!採用戦略立案の流れやポイントを紹介◆◇

【参加特典あり】人材採用・定着セミナーのご案内

弊社では、以下日程で人材採用・定着に関するセミナーを実施いたします。本セミナーでは、日本実業出版社「成功事例でわかる小さな会社の『採用・育成・定着』の教科書」を執筆した採用・定着コンサルタントが、中小企業が「欲しい人材を、欲しい時に、欲しい人数だけ採用する」「自社にとって必要な人材を定着させ、早期に戦力化する」といった採用・定着のゴール(=成功)の実現に向け、押さえるべき「基礎・基本」や、最新の採用市場・求職者動向を踏まえた採用・定着におけるポイントについて、豊富な事例を交えて解説します。

ご興味をお持ちでしたら、ぜひお気軽にご参加ください。

<セミナー日程>

2023年8月23日(水)14:00~16:00/場所:〔大阪会場〕AP大阪茶屋町

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■□本セミナーでお伝えすること□■
 ◎中小企業の人材採用・定着における典型的な間違い
 ◎半年間で20〜30代の人材を10名以上採用した中小企業
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この記事の監修・筆者

大園 羅文
大園 羅文(株)新経営サービス コンサルタント
「採用・定着コンサルタント」として、中堅・中小企業を対象とした人材採用支援(新卒・中途)、若手人材の定着・即戦力化支援、人事制度の構築・運用支援に従事。 特に、『採用・定着力の強化』を得意テーマとしており、中小企業独自の問題に対する支援を通じて、“若手社員が辞めない・成長する組織づくり”をテーマに掲げている。
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ムダな時間・コストを掛けず効率的・効果的な採用活動を行うためには、欲しい人材を獲得するための採用戦略(=勝ちパターン)を策定することが重要です。