採用戦略とは?中小企業における採用戦略策定のメリット・デメリット
2023年05月26日
自社が求める人材を目標人数通りに獲得し、会社を成長・発展させるためには採用戦略が重要です。昨今の少子化・生産年齢人口の減少に伴う売り手市場の進行や採用活動のオンライン化・早期化によって、採用活動が多様化・複雑化した今、採用戦略の必要性は年々増していると言えるでしょう。
そこで本コラムでは、採用戦略が必要な理由やメリット・デメリットについて解説します。
もくじ
採用戦略とは?
採用戦略とは、「自社を成長・発展させるために必要な人材を、どのような手法・手段を用いて獲得するか」を具体化した戦略です。弊社では、『自社の採用ターゲットの獲得に向けて、今後の採用課題と取り組み事項をもとに、「いつ」「誰が」「何を」「どのような手段で」活動していくのかを見える化したもの』と定義しています。
多くの中小企業は、「募集をしても応募が集まらない」「色々な採用手法を試すもうまくいかない」「選考・内定辞退が多く発生している」「求める人材からの応募が少ない」といった悩みを抱えています。
売り手市場の進行やオンライン化などの採用活動の多様化・複雑化が進む現代の人材採用において、自社が人材獲得競争を勝ち抜くためには、求人原稿の修正や面接方法の見直しなどのマイナーチェンジだけでは限界があり、抜本的に採用戦略を見直す時期にあります。
なぜ“今”採用戦略が求められるのか?
最近では、採用活動の抜本的な見直しに向けて、求める人材や現代の採用活動手法に即した採用戦略を立案する企業が急増しています。そして、新たな採用戦略を立案し、その戦略をもとに採用PDCAを回している企業ほど、人材採用に成功している企業が多いです。
では、なぜ“今”新たな採用戦略を立案する中小企業が増加しているのでしょうか?
①売り手市場が進行によって、今までのやり方では求める人材を獲得できないため
新たな採用戦略を立案・推進する中小企業の多くは、「今までは問題なく求める人材を獲得できていたが、ここ数年で急激に獲得できなくなった」と感じていた企業です。このように「今まではうまくいっていた採用手法は通用しなくなっている」と感じる経営者や人事責任者も多いのではないでしょうか?
特に、若手人材の採用に苦戦する中小企業が急増していますが、その背景には、ご承知の通り、少子化や生産年齢人口の減少に伴って売り手市場が進行していることが挙げられます。(生産年齢人口とは、15歳以上65歳未満の生産活動に従事している人口のこと)
下のグラフは内閣府が発表した生産年齢人口と今後の将来予測を表したものです。このグラフを要約したものを右表にて示していますが、2021年の15~64歳人口が7,450万人であるのに対し、今から7年後の2030年には500~600万人減少して6,875万人、そして今から27年後の2050年には1700~1800万人減少して5275万人となっています。
※出典:内閣府「令和4年版高齢社会白書」
上記グラフの通り、日本では少子高齢化が進み、1社に対する求職者の数は年々減少しています。特に20~30代の若手人材の減少が著しく、今でもなかなか若手人材の採用に苦戦する中小企業は多いですが、先述の通り今後はその母数が更に減少するため、益々困難となるでしょう。
このような状況下で、今までと変わらない採用活動をしても成果があがらないのは明白です。そのため、「最近になって応募が急減した」という中小企業が、このタイミングで新たな採用戦略を立案・推進し、今後の人手不足時代を勝ち抜こうとしているのです。
②採用のオンライン化・早期化によって、新たな採用活動を展開する必要があるため
人材採用活動において、オンライン化は避けられない!
コロナの影響で急激に進んだ「採用のオンライン化」。しかし、中小企業の場合は意外にもオンライン導入が進んでおらず、「採用説明会や面接は、できれば対面で実施したい」と考える企業が多いように感じます。
中小企業が採用のオンライン化を行わない理由として、「ミスマッチ防止のため、社内の雰囲気や社員の人柄などを伝えたい」ということが挙げられます。確かに、その側面はありますが、今やオンライン採用は当たり前の時代になっており、対面に固執して採用説明会や面接をしてしまうと、求職者からすれば参加ハードルが高く、結果として応募減少の原因となってしまいます。
「社風を伝えたい」と言っても、そもそも応募がなければ意味がありませんので、まずはしっかりと応募を増やすためにも、採用のオンライン化は導入すべきでしょう。
人材採用に成功している中小企業では、このような時流に乗り遅れないよう、いち早くオンライン採用を導入・推進するための新たな採用戦略を立案し、試行錯誤を繰り返しながら、独自の採用活動を展開しています。
採用の早期化に伴い、採用に出遅れる中小企業が急増中!
また、新卒採用のトレンドである「採用活動の早期化」にも対応しなければなりません。
昨今、「例年通りのスケジュールで採用説明会を実施しても、学生が全く集まらない」という声を良き聞きます。それは、大卒の有効求人倍率の上昇に伴い、他社よりも早く学生を囲い込もうとする企業が急増しているためです。
下のグラフは、上が各社の面接開始時期を、下が内定出しの開始時期を示したものです。ご覧の通り、面接開始時期として、3月までにスタートする企業が全体の66.5%、内定出しは3月までに40.1%の企業がスタートさせる、と回答しています。
※出典::㈱ディスコ「新卒採用に関する企業調査」
このように全体的な採用活動の早期化が進んでいるため、3月以降になればなるほど、説明会をやってもすでに就職活動が終わっている学生も多く、そもそもの母数が少なくなっているのです。
人材採用に成功している企業では、定型化されていた新卒採用活動を抜本的に見直し、時流やトレンドを押さえながら現代の学生に合わせた採用活動を展開するための新たな採用戦略を立案しています。
採用戦略策定における3つのメリット
ここで、採用戦略を策定するメリットについて、改めて整理してみましょう。
自社の「勝ちパターン」が分かる
欲しい人材を採用するための採用手法や広報手段(媒体・原稿)等、自社のあるべき採用活動を策定することができます。
次の打ち手が分かる
採用活動の総点検を通じて、採用上の問題点を可視化し採用課題解決に向けた今後の取り組みを具体化する事ができます。
欲しい時に・欲しい人材を・欲しい人数、採用できる
自社の勝ちパターンを確立し、自社の採用課題を解決することで欲しい時に、欲しい人材を、欲しい人数だけ採用できます。
つまり、採用戦略(=勝ちパターン)を策定できれば、ムダな時間・コストを掛けずに、効率的・効果的な採用活動を行えるため、欲しい時に・欲しい人材を・欲しい人数、採用できるようになります。
生産年齢人口の減少が続く中、人が欲しい時に、欲しいだけとれる会社になること、というのは、今後の時代や中小企業における最重要課題と言えるでしょう。
採用戦略策定における3つのデメリット
先述の通り、採用戦略は現代の採用活動における重要ポイントですが、採用戦略を策定するデメリットを挙げるならば、以下が考えられます。
採用活動におけるミスリードが生じる可能性がある
時代に適した採用戦略を立案する際は、当然ながら市場動向や競合他社の採用状況などの情報が必要です。しかし、人の価値観・考え方は十人十色であるため、これらの情報はあくまで1つの参考資料に過ぎず、全てが正確で利用可能なわけではありません。そのため、市場動向や競合他社の採用状況を鵜吞みにしてしまうと、適切な戦略を立案できず、非効率的な採用活動となってしまう恐れがあります。
トレンドの変化に対応し続ける必要がある
採用環境や求職者の動向は常に変化しています。昨今でも、新たな採用手法やチャネルが数多く誕生しています。時代に適した採用戦略を立案するためには、これらの変化にもしっかりと対応しなければなりません。そのため、定期的に採用戦略を見直し、継続的にブラッシュアップを続ける必要があります。
組織ニーズを考慮する必要がある
人材採用におけるゴールを「自社の成長・発展に貢献できる人材を獲得すること」と定義すると、採用戦略を立案する際も、組織の戦略的目標やニーズを考慮する必要があります。しかし、組織のニーズは業績や時期等によって変化し、またビジョンや将来展望などの中長期的な組織ニーズも考慮しなければなりません。これらがズレていると、先述した人材採用の目的を果たすことができず、採用のミスマッチに繋がりやすくなります。
まとめ:採用手法が多様化している“今”だからこそ「採用戦略」が必要!
冒頭で述べた通り、売り手市場の進行に加え、採用のオンライン化等の採用市場の変化が激化した昨今では、特に「独自の『採用戦略(勝ちパターン)』がある」かどうかが、採用の成否に大きく影響しています。
弊社では、昨今の売り手市場化でも中小企業が求める人材を採用するための「採用戦略」の策定サポートを行っております。
採用戦略コンサルティングでは、求める人材の獲得に向けた今後の採用課題と取り組みの具体化を通じて、「いつ」「誰が」「何を」「どのような手段で」採用活動を展開していくのかを見える化し、採用力の強化を図ります。
これにより、人材採用に時間・コストを割くことが難しい中小企業でも、「採用戦略」という方針のもと、採用PDCAを高速に回しながら、計画的に勝つべくして勝つ採用活動を推進することができます。
「今までのやり方では限界にきているので、採用活動の総点検をしたい」「今後の採用難時代を見越して、今のうちから採用力を強化したい」といった企業があれば、ぜひお気軽にご相談ください!