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保護者の意識調査から読み解く「オヤカク」の実態

保護者の意識調査から読み解く「オヤカク」の実態

昨今、新卒採用において重要視されている「オヤカク」。「オヤカク」とは、就職活動中に、企業が親に対して内定承諾の確認を取ることを指します。
売り手市場の進行に伴い、様々な理由から内定辞退率が高まりつつありますが、「親の意向」による辞退も珍しくありません。
そこで今回は、株式会社マイナビの調査データをもとに、学生(子供)の就職活動に対する保護者(親)の意識と「オヤカク」の実態、そして企業が実施すべき親対策について解説します。

※出典:株式会社マイナビ「就職活動に対する保護者の意識調査(2022年2月)」(https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2022/02/2022.2.9_hogosha.pdf)

子供の就職活動に対する保護者の関心度合いと関わり方

まずは、子供の就職活動に対する保護者の関心度合いを見ていきましょう。
同社の調査によると、「関心があった(高い関心があった+関心があった)」と回答した保護者は全体で74.2%に上ります。また、この数値は父親・母親ともに同程度の数値であることから、多くの保護者が子供の就職活動に対して高い関心を持っていることが分かります。

一方で、子供とのコミュニケーションにおいては父親・母親の間で差が見られます。
具体的には、「就職活動について子供と最もコミュニケーションが多いのはだれか?」という問いに対し、最も多いのが「母親(73.6%)」であり、父親は全体の21.6%に留まっています。つまり、父親に関しては、子どもの就職活動に関心を持ちながらも、コミュニケーションの面で母親に対して大きな開きがあることが分かります。

以上のことから、子供の両親、特に「母親」に対するフォローを行うことが、親対策としては有効であると言えます。

保護者が感じる「子供の就職活動」に関する不安

次に、保護者が子供の就職活動において感じる不安について見ていきます。
保護者が不安になったこととしては、「子供の就職活動状況」や「内定がもらえるか」「面接でうまく話せるか」など、総じて子供の就職活動に関する不安が多く挙がっています。
一方で、「子供の志望業界・企業について問題はないか」「子供がブラック企業にエントリーしていないか」など、就職先に対する不安を持つ保護者も一定数いるようです。

以上のことから、説明会や面接等を通じた学生(子供)への情報発信だけでなく、保護者に対しても、企業の安定性・将来性や働きやすさなどを積極的に情報発信することが、親対策としては有効であると言えます。

保護者が子供の就職先に望むこと

保護者が子供の就職先に対して希望することとして、どのようなことが挙げられるのでしょうか?
「子供が入社する企業の特徴として望むものは何か?」という問いに対し、最も多かった回答は「経営が安定している(51.5%)」で、2位の「本人の希望や意思に沿っている(25.3%)」の約2倍となっています。つまり、半数以上の保護者が安定した環境への就職を希望しており、その上で子ども自身が希望する仕事であることや、スキルアップを目指せる環境であることを望んでいることが考えられます。

また、上記の傾向は「子供に働いてほしい業界・企業は何か?」という問いに対する回答からも見て取れます。
まず業界に関しては、「官公庁・公社・団体」、「総合商社」、「医療・調剤薬局」、「ソフトウエア・情報処理・ネット関連」、「教育」 という順番となっており、非製造系の業界が目立ちます。
一方、働いてほしい企業については「公務員」が最多であり、次いでメーカーや商社、IT・通信、航空など幅広い業種からランクインしていることから、いずれも保護者の安定志向を裏付けるような結果となっています。

保護者による「オヤカク(企業からの内定確認の連絡)」の経験

では、実際にどの程度の保護者が「オヤカク」を受けた経験があるのでしょうか?
内定保有者の子供を持つ保護者を対象に、子どもの内定先からどのような連絡があったかを聞いたところ、「内定確認の連絡」を受けたという回答は49.9%と約半数に上るなど、学生への内定付与後に企業が保護者へ意向を確認する、という流れが一般化しつつあることが分かります。
また、保護者が受けたフォローとして、「内定式・入社式への招待」、「保護者向け資料の送付」、「保護者向け説明会実施の案内」などが挙がっていることから、学生への内定後フォローを行う一方で、保護者に向けたフォローを行う企業も現れています。

調査データから読み解く、今後必要な「親対策」とは?

今回の調査データ結果を踏まえると、今後必要な「親対策」として、以下の情報を積極的に発信することが重要であると言えます。

①採用サイトや採用パンフレットを通じて、企業の安定性・将来性や働きやすさをPRする

先述の通り、「子供の志望業界・企業について問題はないか」「子供がブラック企業にエントリーしていないか」など、就職先に対する不安を持つ保護者も一定数存在します。
そのため、保護者でも閲覧できる採用サイトや採用パンフレット等を通じて、自社の業績における安定性や将来性、労働環境や福利厚生等の魅力などの働きやすさをPRすることが重要でしょう。

②社長メッセージや社員メッセージを通じて、会社の価値観・考え方や社内の雰囲気をPRする

保護者として、子供が就職する会社の経営者や社員は、どのような考えを持つ人々なのか?また、その雰囲気は自身の子供と合っているのかどうか?については心配する方も多いでしょう。

そのため、自社の価値観や人材に対する考え方、企業ビジョン等を伝えるための社長メッセージや、入社理由や会社の魅力等を伝えるための社員メッセージを、上記と同じく採用サイト等で訴求することで、保護者への安心感を醸成しましょう。

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この記事の監修・筆者

大園 羅文
大園 羅文(株)新経営サービス コンサルタント
「採用・定着コンサルタント」として、中堅・中小企業を対象とした人材採用支援(新卒・中途)、若手人材の定着・即戦力化支援、人事制度の構築・運用支援に従事。 特に、『採用・定着力の強化』を得意テーマとしており、中小企業独自の問題に対する支援を通じて、“若手社員が辞めない・成長する組織づくり”をテーマに掲げている。
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