【中途・新卒】内定辞退を防ぐ5つのポイント
2022年08月30日 (更新日:2023年04月27日)
売り手市場の進行に伴い、増加の一途をたどる求職者・学生からの内定辞退。「時間・コストを掛けて獲得した人材からの辞退が相次いで発生している」という中小企業も多いのではないでしょうか?
本コラムでは、中途・新卒採用における内定辞退を防止するための5つのポイントと成功事例を解説します。
もくじ
中途・新卒採用における内定辞退の現状
中途採用における内定辞退の現状
㈱マイナビの調査によると、中途採用における内定辞退率は11%でした。特に、「運輸・交通・物流・倉庫業」「IT・通信・インターネット業」「金融・保険・コンサルティング業」の3業種における内定辞退率は14%~24%と平均よりも高い結果となりました。
これは、3業種ともに人材不足の深刻化に伴い、人材獲得競争が激化していることが原因と考えられます。
また、中途採用の場合は「内定辞退率」よりも「面接無断キャンセル率」が高い傾向にあるようです。
※出典:㈱マイナビ「中途採用状況調査2022年版(2021年実績)」
新卒採用における内定辞退の現状
㈱リクルートの調査によると、23卒学生の内定辞退率は「65.8%」でした。実に多くの学生が内定辞退をした経験があることが分かります。
この背景として、同社が毎年発表している大卒の有効倍率を見ると、全体で1.58倍、特に300名未満の中小企業では5.31倍と、新卒採用における人材獲得競争が激化したことで、内定辞退率も年々増加していると考えられます。
※出典:㈱リクルート「就職プロセス調査(2023年卒)」
求職者・学生が内定辞退する理由
なぜ、求職者や学生は内定辞退をするのでしょうか?その理由は、求職者・学生によって様々ですが、以下の理由で辞退するケースが多く見受けられます。
【中途】①他社で内定を取得した
中途採用における1つめの辞退理由は、その求職者にとっての第一希望であった企業など、他社から内定を取得したことが挙げられます。
この売り手市場下では、複数社に対して応募を行う求職者も多く、同時並行で他社の選考を受けている求職者が殆どです。その場合、自社の選考途中であっても他社から先に内定を取得した時点で転職活動を終了するため、この理由が最も多いのです。
そのため、自社の選考中に求職者の転職活動状況や他社の選考状況を確認し、可能な限り他社よりも早く内定を付与できるよう、スムーズな選考を行うことが内定辞退の防止に有効です。
【中途】②給与・待遇面が希望条件に合わない
2つめの辞退理由は「希望する給与・待遇ではなかった」という理由です。
当然ながら、求職者は現職よりも良い給与・待遇を求めて転職活動を行うため、自社が提示した給与・待遇が現職よりも見劣りする場合、内定を辞退されてしまう1つの原因となります。
そのため、求職者へ入社後の給与や待遇を予め提示しておくことはもちろんのこと、人事制度をもとにモデル年収・月給を提示しながら、給与・待遇面からの入社メリットを訴求することが内定辞退の防止に有効です。
【中途】③仕事内容が希望条件に合わない
3つめの辞退理由は「希望する仕事内容ではなかった」という理由です。
この主な原因として、面接官が、求職者のやりたい仕事を正しく把握・理解できていないことや、自社の仕事内容や魅力・やりがい等の具体的な情報を、求職者に提供できていないことが挙げられます。
そのため、面接官の面接スキル強化を通じて、求職者の志向・価値観等の情報を引き出すとともに、それに合わせた自社の魅力・強みを提示することが内定辞退の防止に有効です。
【中途】④家族に反対された
4つめの辞退理由は「家族に反対されたため」という理由です。
特に転居を伴う転職の場合、求職者の家族から反対意見が出ることもあり、結果として内定辞退が発生するケースも見受けられます。
そのため、面接を通じて求職者の入社意欲を向上させるのはもちろんのこと、採用サイトや口コミサイト等を通じた家族への情報提供やフォローを行うことが内定辞退の防止に有効です。
【新卒】①会社の価値観や風土が合わなそう
新卒採用における1つめの辞退理由は、「会社の価値観や風土とのミスマッチを感じたため」という理由です。
社会人経験がない学生の場合、「何をするか?(=仕事)」以上に「どこで働くか(=価値観・風土)」を重要視する傾向にあります。そのため、仕事内容や給与・待遇が魅力的であっても、自身が大切にする価値観や風土とのミスマッチを感じた場合は、内定を辞退する学生が多いのです。
一方で、価値観や風土といった目に見えない要素は、「なんとなく合わなそう」という曖昧さを生じさせやすいことから、採用説明会や面接の場を通じて、より会社の価値観や風土を体感させ、曖昧な理由での辞退を防止することが重要です。
【新卒】②社員の雰囲気が合わなそう
2つめの辞退理由は、「社員の雰囲気とのミスマッチを感じたため」という理由です。
先述の通り、学生は「どこで働くか(=価値観・風土)」を重要視する傾向にありますが、それと同時に「誰と働くか(=社員)」も重要視しています。そのため、社員の人柄や雰囲気とのズレを感じた場合も「自身にとって居心地の悪い職場だ」と思い、内定辞退をするのです。
この点も、会社の価値観や社風と同じで「なんとなく合わなそう」という曖昧さを生じさせやすいことから、採用説明会や面接の場を通じて、人事部門の社員だけでなく、現場社員との接点を設けることで、社員の雰囲気とのマッチング度を推し量る機会を用意することが、内定辞退の防止に有効です。
【新卒】③働くイメージが持てない・仕事の面白さが分からない
3つめの辞退理由は、「入社後の働くイメージや仕事の面白さ・やりがいが分からないため」という理由です。
社会人経験のない学生にとって、「本当にこの会社・仕事が自身に向いているのか?」は多くの学生にとって不安・悩みを抱く要素であることから、働くイメージが持てないことや仕事の面白さ・やりがいが曖昧であることは、内定承諾を思い留まらせる大きな要因となります。
そのため、面接の場を通じて、学生の志向・価値観だけでなく、希望職種とそのイメージ、やりがい等に関するヒアリング・対話を通じた仕事内容とそのやりがいに関する具体的な情報提供や、入社~配属までの流れや研修スケジュール、キャリアパスの説明を通じた入社イメージの醸成を行うことが、内定辞退の防止に有効です。
【新卒】④会社独自の魅力・強みが分からない
4つめの辞退理由は、「その会社独自の魅力・強みが分からないため」という理由です。
成長意欲の高い学生にとって、「その会社に入社することで、どのようなスキル・経験を習得できるか?」は内定承諾をする上での重要指標となります。また、コロナ禍で業績不振に苦しむ中小企業が多い中、「会社の安定性・成長性」を重視する学生も増加しています。
そのため、採用説明会や面接の場を通じて、他社にはない自社の独自性や競争優位性、事業や人・組織、職場環境等のおける独自の魅力・強みを具体的なエピソードを交えて伝えることで、「この会社に入社すれば、市場価値の高い人材になれる!」というイメージを醸成することが、内定辞退の防止に有効です。
内定辞退を防ぐ5つのポイント
先述の中途・新卒採用における内定辞退を踏まえると、内定辞退を防ぐポイントとして、以下の5つが挙げられます。
①求職者・学生へのレスポンスを早め、選考途中での不安・悩みを解消する
売り手市場下での採用活動において、「他社よりも早く求める人材を囲い込むこと」は採用の成否を分ける重要ポイントです。そのため、合否連絡や面接日程の調整等の連絡をはじめ、求職者・学生への諸連絡におけるレスポンスを早めることで、スムーズに選考を進めることが重要です。
また、転職・就職活動において様々な不安・悩みを抱える求職者・学生をフォローすべく、「前回の面接時に確認・質問し忘れたことはないか?」「現時点での不明点や相談事項はないか?」など、常に求職者・学生に配慮した選考を行うことで、内定辞退を防止しましょう。
②現場社員との接点を設け、会社・社員の雰囲気や志向・価値観を体感させる
優先順位の違いはあるものの、中途・新卒ともに「どこで・誰と働くか」は就職先を決める上での重要指標となります。
そのため、社員座談会や個人面談、会社・工場見学を通じて、可能な限り多くの現場社員との接点を用意し、様々な社員との交流を図ることで、会社・社員の雰囲気や志向・価値観を体感させ、入社イメージを醸成することが重要です。
③内定者面談や内定者フォローを通じて、求める人材の動機づけを図る
求職者・学生は、内定付与後に「本当にこの会社が自身の転職・就職先として最適なのか?」ということを考えます。
このような、所謂「内定ブルー」に陥っている求職者・学生を放置せず、内定者面談や内定者フォローを通じた内定後の不安・悩みの解消や動機づけを図ることで、「この会社に決めよう!」という求職者・学生の決断をアシストすることが重要です。
④親・家族への情報提供を通じて、自社への転職・就職に対する安心感を醸成する
昨今では、親や家族の反対を理由とした内定辞退も多く見受けられます。
そのため、採用サイトや口コミサイトを通じた、自社の魅力・強み、働きがいなどの情報を積極的に提供することや、採用パンフレット等のノベルティを通じた情報提供などが求められます。
また、新卒採用の場合は、親子同伴での採用説明会や個人面談、会社・工場見学などを行う企業も増加しています。「オヤカク」という言葉に代表されるように、親や家族を安心させることも、内定辞退を防止するためには重要です。
⑤求める人材を正しく見極め・動機づけできる面接官を育成する
先述の通り、面接官の対応や力量は、採用の成否を大きく分けます。
そのため、会社の代表として求職者・学生と接する面接官の「見極め力(自社が求める人材かどうかを適切に判断する力)」「動機づけ力(求職者の入社意欲を高高める力)」をレベルアップさせ、時間・コストを掛けて集めた人材を確実に獲得するための面接を行うことが重要です。
一方で、多くの企業では面接官向けの研修・勉強会を実施しておらず、面接の属人化や採用のミスマッチが相次いで発生しています。採用のオンライン化が進み、面接官に求められることが多様化・高度化した今だからこそ、面接官の育成は企業の採用力強化において非常に重要なテーマではないでしょうか?
弊社では、昨今の採用難の時代でも、自社にマッチする人材を採用するための面接官を育成するためのトレーニングを実施しています。「面接スキルの強化」に課題を感じている企業は、ぜひご参考ください。