就職氷河期世代の特徴と採用ポイント
2022年12月27日
もくじ
就職氷河期世代とは?
就職氷河期とは、バブル崩壊後の1993年から2005年卒業で就職活動に差し掛かった年代のことを指します。「就職氷河期」という言葉は、雑誌『就職ジャーナル』で用いられ、1994年に流行語大賞に選ばれたことで世間に広まったようです。
上記の時代は、バブルの崩壊によって大手企業を中心に多くの企業が採用を見送りましたが、就職氷河期世代とは、この期間に就職活動を強いられた世代の人を指しています。
※厚生労働省では「1990年代~2000年代の雇用環境が特に厳しい時期に就活を行った世代」(≒ロストジェネレーション世代)と定義
就職氷河期世代のキャリアにおける特徴
正社員としての経験を持つ人材が少ない
先述の通り、バブル崩壊後に企業が新規採用を絞ったため、この世代の多くは不本意ながら不安定な仕事に就いている、もしくは仕事がないという状況にありました。また、新卒時に内定を得られず、その後、非正規の仕事を転々とするうちに、40代になっても一度も正社員として働いたことがないという方も一定数存在します。さらに、転職活動をしても非正規雇用の期間が長いキャリアでは、思うような仕事が得られないケースも見受けられます。
大企業・中堅企業で勤めたことのある人はごくわずか
総務省統計局が2019年に公表した「35~44歳世代の就業状況」によると、2018年の調査時点で「35~44歳の就職氷河期世代(2022年現時点で39歳~48歳)」の非正規雇用者のうち、不本意に非正規雇用で働いている人は合計50万人(男性:21万人/女性:28万人)いるそうです。そして、「従業者規模500人以上」の企業に勤めている人が少ないという傾向が見られました。
就職氷河期世代は、不本意ながら非正規雇用となった方がほかの世代と比べて多いだけでなく、正規雇用された方も大企業や中堅企業で職を得た人が少ないという実態が伺えます。
理想のキャリアが積めていない
就職氷河期世代は、雇用形態の不安定さから職業の経験を積むことができず、キャリア構築が困難だった世代と言えます。また、就職氷河期世代は、正規雇用としての経歴が薄いため、転職も非常に不利な状況でした。そのため、スキルや能力開発の機会やキャリアアップに恵まれなかったという人も多く、昇格や賞与等の企業の恩恵を受けずに、出世コースから外れてしまうケースも見受けられます。
就職氷河期世代が生まれた時代背景・原因
①採用人数の多い、大手企業が採用を見送ったこと
就職が困難であった就職氷河期世代ですが、当然ながら就職できた人は一定数います。また、先述の総務省の統計を見ると、不本意ながら非正規雇用となっている方(不本意非正規雇用者)は、実は就職氷河期世代全体の3%程度と少ない結果になっています。つまり、就職氷河期世代は「大手が若年層の新規採用を絞った」ことによって、言い換えれば「大企業に正社員として入社できなかった(または難しかった)世代」と捉えることができます。これは、根本的にはこの世代に「大手至上主義」の考えがあった、と推測することができます。
②法律改正(労働者派遣法)
労働者派遣法は施行当初、専門知識を必要とする13業種のみが対象でしたが、1999年の法改正で禁止業務以外が原則自由化され、バブル崩壊による不景気から企業の人件費削減が加速したことで、派遣社員の雇用が増加した、という時代背景も影響しています。
③バブル崩壊に伴う雇用調整
バブル景気の頃は大量に人材を採用していた一方、バブル崩壊後は、あらゆる企業が需要低迷期に入ったため、各社が不景気を生き残るためにリストラや雇用調整を図りました。
そのため、就職氷河期世代では正規社員での就業が難しくなり、パートやアルバイト、派遣社員といった非正規社員での雇用を余儀なくされた人も少なくありません。また、非正規社員の増加は全体所得の低下にもつながるため、日本は不景気に陥ったことで、企業はますます全体の費用を圧縮するようになり、さらに採用を見送る企業が増加しました。
就職氷河期世代の有能人材を採用する時の注意点
①職歴を重視し過ぎない
採用活動で就職氷河期世代を選考する際は、職歴を重視せず、そのほかのポイントで評価することがポイントです。
先述の通り、職氷河期世代は、通常であれば問題なく就職できていた人材も非正規雇用を余儀なくされています。そのため、正社員の期間がなかったり、職種の一貫性が欠けていたりしても、上記のようなやむを得ない背景があることを理解しましょう。
②職歴の空白を確認する
就職氷河期世代が置かれた環境上、職歴に空白が生じるのは仕方ない面もありますが、その間の活動についてはしっかりと確認する必要があります。例えば、就職氷河期世代は「引きこもり」が多いという指摘があり、実数として40代の引きこもりが多いという調査もあるため、空白期間の活動をヒアリングすることで、会社で活躍できる素養があるかを判断しましょう。