【成功事例】新卒採用につながるインターンシップの作り方と『面白い』インターンシップ事例
2022年08月22日 (更新日:2023年04月06日)
最近では中小企業がインターンシップを実施するケースも増えていますが、採用活動にコスト・時間的な制限がある中小企業は、大手企業と比較して実施率はまだまだ高くありません。
しかし今の学生は、新卒採用の早期化に伴って、採用説明会ではなくインターンシップを通じて自身の就職先を選定しているため、インターンシップは今や“採用活動における主戦場”といっても過言ではありません。
本コラムでは、新卒採用の最重要施策とも言えるインターンシップの作り方や、学生から大人気の面白いインターンシップ事例を解説します。
もくじ
インターンシップをやらないと、欲しい人材には出会えない!
採用活動において、中小企業から「毎年同じような時期に説明会をしているのに、数年前から学生の参加人数が激減した」との悩みが増えています。その原因の1つとして考えられるのが、売り手市場の進行に伴う採用活動の早期化です。
昨今、学生の志望業界や企業選定の手段が、採用面接からインターシップにシフトしています。
(株)ディスコの調査によると、「大学3年生の3月時点にエントリーした社数」と「それ以降のエントリー予定社数」の割合では、全体のうち6割以上の会社に3月時点でエントリーをしています。3月といえば、各社が採用面接会をスタートさせるタイミングですが、この時点で学生は就職先の候補となる企業を概ね選定していることになります。つまり、3月の以前のインターシップ期間に学生はすでに候補を搾っているのです。
出典:㈱ディスコ「キャリタス就活 2024学生モニター調査結果」(2023年3月発行)
学生の認知度が低い業界・企業でもインターンシップは効果があるのか?
インターシップが現在の採用にとって重要であることは理解できるものの、中小企業の経営者や人事責任者からは、「大手企業と比較して認知度・人気度が低い中小企業でもインターンの効果があるのか?」「インターシップをやったところで、我々のような中小企業には人が集まらないのでは?」との声も聞かれます。
ただ、学生にとって面白い学びのプログラムがあるならば、どんな業界でも、どんな企業でも学生を集めることは可能です。それは、インターシップに参加する理由が、「視野を広げるため」「自分が何をしたいのか見つけるため」「働き方について考えるため」であることから、インターシップ期間においては、企業の知名度や人気は集客に大きくは関係しないことが分かっているためです。
※出典:株式会社「マイナビ2024年卒 大学生広報活動開始前の活動調査」(2023年2月)
また、インターシップへの参加を通して、学生に業界や自社のイメージを変えてもらうことができる点が、企業における最大のメリットと言えます。
(株)ディスコが、学生がインターシップに参加した前後で印象の変化を調査したところ、参加者の約半数が「この会社に入りたいと思った」と回答。さらに、参加した8割以上の学生が「企業」「業界」「職種」のいずれかに興味を持ったことが明らかになっています。そして実際に半数以上の学生がインターン参加先から、就職先を選定しています。
このデータからも、現在、インターンシップは採用活動の中でもっとも有効な動機づけの手段と言えるでしょう。
※出典:㈱ディスコ「インターンシップ等に関する特別調査」(2023年3月)
自社の魅力が伝わるインターンシップのやり方・作り方
自社の魅力が伝わるインターシップを作るためには「誰に対して」「何を・どのように訴求するか」が重要です。基本的な設計基準は大きく分けて3つあります。
①実施目的・ターゲットの設定
まずは「誰に対して」「何の目的」でインターンシップを実施するのかを決めます。
例えば、「誰に対して」ということでは、理系学生などの採用困難な学生をターゲットにするのと、「どのような学生でもよい」ということでは、「どのようなプログラムが良いのか」が変わります。また母集団形成を目的にするのとインターンからの直採用を目的にするのとでも、プログラムの作り方は違います。
具体的には、母集団形成を目的にするのであれば、模擬面接や自己分析などの学生が興味のあるプログラムで実施した方が良いでしょう。直採用を目的にするのであれば、自社の業務体験をしつつ、グループワークやプレゼンを通じて、学生の素養を見極められるようなプログラムを実施する必要があるはずです。
②コンテンツ設計
次に「コンテンツ設計」です。ここでのポイントは、「我が社が学生に知ってほしい自社の魅力」と「学生が実際に知っていること・思っていること」とのギャップを意識して、自社の魅力や強みを選定することです。
ただ、自社が「伝えたい」「体験してほしい」ということだけをベースにしてコンテンツを設計してしまうと、一方通行のコミュニケーションとなってしまい、学生の理解度が深まりません。学生の理解度や業界・企業に対するイメージを踏まえて、自社が訴求すべき魅力や強みを選定することで、より学生目線でのインターンを設計することができるでしょう。
③フォロー施策検討
そして最後は「フォロー施策検討」です。せっかくインターンシップで接点を持った学生でも、最終的に採用できなければ意味がありません。そこで、インターンも「やって終わり」ということではなく、採用に繋げるためのフォローについても検討しておく必要があります。
ただし、マンパワーやコストが限られている中小企業が、全学生を一気にフォローするのは物理的に難しいので、的を絞るべきでしょう。参加者を「求める人材だったかどうか」「自社への関心度は高かったか・低かったか」の2つの軸でふるい分けを行い、それぞれに適したフォローを行います。企業側としては、求める人材に近い学生を優先的にフォローする必要があるので、自社への関心度が高いと判断すれば、早期面接をして早めに囲い込みをしたり、関心度が低いと判断すれば、対面式での職場見学や個人面談を通じて、更なる動機づけを図る必要があるでしょう。
【事例①】母集団形成に特化した面白いインターンシップ
~中古車中古車販売会社A社による「富士山麓での3泊4日野外型プログラム」~
知力・体力を兼ね備えた優秀人材を求める企業が開催したプログラム
「IGNITION」と名付けられたインターンシップは、8人ずつの3チームに分かれ、数多くのミッションに挑戦する野外研修型のインターンシップです。
インターンシップでは、夕食の食材争奪戦や、トレジャーハンティング、ボートレースなど、多種多様なミッションに挑戦し、チームワークやリーダーシップの重要性を伝えます。
事業拡大戦略を背景に、知力・体力・精神力を持つ人材の確保が課題であったA社では、単なる課題解決型のインターンシップでは推し量れない、体力や精神力を見極めることで,求める人材の発見と囲い込みを行っています。
積極的な告知活動、求める人材に適した採用媒体の選定により母集団形成に成功
A社では、
- インターンシップ専用サイトの立ち上げ:インターンシップの様子や、参加者の声を動画や画像で掲載
- インターンシップの説明会を全国で実施(計14回)
など、積極的な告知活動を行うことで、母集団形成に成功しました。
また、自社の求める人材に合わせ、採用媒体を大手ナビからダイレクトリクルーティング型に変更し、より質の高い学生へのアプローチに注力しています。
その結果、内定は266名、入社は62名を獲得し、質の高い学生を獲得できたことで、早期離職率の低下要因の1つとなりました。
【事例②】母集団形成に特化した面白いインターンシップ
~中小零細WEB会社B社による「“肝試し”インターンシップ」~
採用経費を掛けずに企業認知度を高めるために開催したインターンシップ
従業員20名程度の地方零細企業であるB社では、「いかに採用経費を掛けずに企業認知度を高めるか」を目的として、ユニークで面白いインターンシップを開催しました。
深夜の自社オフィスを舞台にした肝試しインターンシップでは、恐怖心や予想外のハプニングに耐えながら、一晩を使って企画を立案します。
B社では、母集団形成に特化し、インターンシップのプログラムをユニークにすることで、 学生との接点を設け、インターンシップを通じて事業内容と仕事のやりがいを伝えています。
採用コストの削減と、他社とのバッティング防止を通じて母集団形成に成功
B社では、開催時間を夜9時~朝9時にすることで、
学生視点では、<学業やアルバイト終わりに気軽に参加できる>
企業視点では、<他社とのバッティングを防ぐことができる>
というメリットを作っています。
その結果、地方の零細企業に全国から数十名の応募があり、またSNSでも話題になるなど、成功を収めたインターンシップとなりました。
【事例③】優秀な学生を“一本釣り”できる面白いインターンシップ
~不動産会社C社による「社長との富士山登山を行う」インターンシップ~
社長が直接学生を口説き落とすことで、優秀人材の確保に成功
地方で不動産業を運営するC社では、社長(現会長)と共に富士山登山を行い、社長とのコミュニケーションを通じて働くことや経営を学ぶインターンシップを開催しています。
登山の道中では、社長から直々にビジネスの基本スタンスや儲け方について学ぶことができ、C社が求めるベンチャー志向の高い優秀な人材を直接口説き落とすことで、“一本釣り”を図っています。
また、下山後には温泉や食事を楽しむことができ、学生の満足度をより高めています。
インターンシップサイトや県が運営するインターンシップシステムを導入し、母集団を形成
インターンシップの集客施策として、インターンシップの専用サイトを立ち上げることはもちろん、社長からのメッセージ動画の作成や、県が運営するインターンシップシステムを活用することで、母集団形成に役立てています。
大手ナビサイトにはないサービスもありますので、本社を置く都道府県に同様のサービスがある場合は、検討してみてはいかがでしょうか。
〔インターンシップシステムとは?〕
県の経営者協会が推進する全国の大学生と企業との交流を目的としたインターンシップサイト。大手ナビと異なるのは、以下の2つ
- 各大学のキャリアセンターによる大学登録が必要
- キャリアセンターの担当員が学生の参加状況を管理できる
成功事例から見る、インターンシップ成功の秘訣
先述した、ユニークで面白いインターンシップの成功事例を見ると、3つの共通項があります。
- インターンシップのコンセプト(開催目的)が明確である
- 学生にとってインターンシップに参加するメリットがある
- 自社の強みやビジョン等、学生に伝えたいことがプログラムに盛り込まれている
また、採用サイトやSNSでの告知、ナビ媒体以外の手法を用いた広報など、様々な手段を用いて自社やインターンシップを認知させることで、母集団形成や求める人材の採用を実現しています。
なお、本サイトでは、インターンシップの成功・失敗事例とその要因をもとに、「欲しい人材からの応募が集まる」「欲しい人材を動機づけできる」インターンシップ設計のポイントやノウハウをまとめた小冊子を、無料でダウンロードいただけます。
新卒採用活動に向け、インターンシップの企画や見直しを行う企業様は、ぜひご活用ください。