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何が変わる?インターンシップのルール変更と注意点を徹底解説!

何が変わる?インターンシップのルール変更と注意点を徹底解説!

今や、新卒採用活動の主戦場となっているインターンシップ。中小企業を含め、殆どの企業がインターンシップを通じて母集団形成や学生の囲い込みを図っています。

そんなインターンシップですが、2022年4月に「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」で、一定の条件を満たした場合に限り、学生情報の利用について合意が結ばれ、これに対応する形で三省合意も改正されました。この改正によって、25年卒以降の「インターンシップ」が新たに定義され、一定の基準を満たす内容のインターンシップを実施した企業は、学生情報を採用活動開始後に活用できるようになったのです。しかし、「今までのルールと、何が・どのように変更となったのか?」をあまり理解できていない方も多いのではないでしょうか?

そこで、本コラムでは、25卒より新たに適用されるインターンシップの取り扱い・ルールと注意点を徹底解説します。

25卒からインターンシップのルールが変わります!

そもそも、インターンシップとはどのような定義なのでしょうか?「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」によると、インターンシップとは「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定義されています。また、インターンシップの大原則として、インターンシップは学生による就業体験の1つに過ぎないため、企業はインターンシップを通じて取得した学生情報を広報活動や採用活動に使用してはならないとされていました。

しかし、昨今の売り手市場の進行に伴い、多くの企業がインターンシップを通じて早期に学生との接点を設け、参加学生に対する早期の採用説明会や選考を行うなど、インターンシップで取得した学生情報を採用活動に活用していたことから、この大原則は実質的に形骸化している状態でした。

このような状況を踏まえ、「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」は、2022年4月に公表した報告書において、インターンシップについて新たな定義を定めるとともに、一定の基準に準拠するインターンシップで得られた学生情報については、その情報を採用活動開始後に活用可能とすることで合意し、上記の大原則を改正するに至りました。

つまり、「一定の要件を満たしたインターンシップを実施する企業は、そこで得た学生情報をその後の採用活動に活用できる」とすることで、現代の新卒採用活動の実態に即したルールに変更した、ということが今回の大きな改正ポイントになります。

インターンシップルールにおける主な変更点と注意点

では、今回の改正で変更となったインターンシップのルールと注意点について解説します。今回の主な変更ポイントは以下の3点です。

①インターンシップを4つにタイプに分類

まず、大きな変更点として、様々なタイプで各社が実施していたインターンシップを4つのタイプに分類・定義化したことが挙げられます。その4つのタイプと特徴は、以下の通りです。

タイプ1:オープンカンパニー型

オープンカンパニー型とは、企業や業界の情報提供やPRをおこなうキャリア形成プログラムです。インターンシップ期間に採用説明会や業界・企業研究等のイベントを行っていた企業は、このタイプに該当します。

このタイプは、企業や業界、仕事に対する学生の理解促進を目的として、講義形式で企業の事業・仕事内容を説明したり、現場社員やOBOGとの座談会・交流会、あるいは職場見学などを実施します。そのため、就業体験は伴わないタイプと言えます。

また、オープン・カンパニー型は1日などの短期間で完結し、全学年を対象に行います。時間帯においても、夏休み・冬休みなどの長期休暇期間だけでなく、平日の夕方や夜間、週末などに開催されるほか、オンデマンドによる動画配信やオンラインを活用して実施されるケースもあります。

そして、最も重要なポイントは、このオープンカンパニー型を実施する場合、取得した情報を採用活動に活用することはNGとなったことです。

タイプ2:キャリア教育型

文部科学省によると、キャリア教育とは、「1人ひとりの社会的・職業的自立に向け必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」と定義されています。

キャリア教育型とは、教育を目的としたキャリア形成支援プログラムです。インターンシップ期間に自己分析ワークやキャリア面談、各種アセスメントを用いてのグループワーク等を実施していた企業は、このタイプに該当します。

キャリア教育型の所要日数は明確に定義されていませんが、オープンカンパニー型と同じく学年を対象に行います。また、時間帯においても、オープンカンパニー型と同じとされています。

また、タイプ1と同じく、このキャリア教育型も取得した情報を採用活動に活用することはNGとなっています。

タイプ3:汎用的能力型・専門活用型

汎用的能力型・専門活用型とは、職場における実務体験をメインとした、キャリア形成支援プログラムです。学生の適性や汎用的能力を重視する汎用的能力活用型インターンシップと、専門性を重視した専門活用型インターンシップの2種類があります。製品設計・開発体験や営業ロールプレイングなど、実務的な業務体験を主としたインターンシップを実施していた企業は、このタイプに該当します。

このタイプ3と後述するタイプ4が、今回の改正で「インターンシップ」と定義されることになり、取得した学生情報は採用活動に活用できる点で「採用直結型のインターンシップ」と言えます。

また、先述の2タイプには、所要日数や実施時期について制約がなかったのに対し、この汎用的能力型・専門活用型タイプには制約が設けてあります。具体的には、汎用的能力活用型は5日間以上、専門活用型は2週間以上と定められており、対象者・実施時期についても、学業との両立の観点から、「学部3年・4年または修士1年・ 2年」「長期休暇期間のみ(夏休み、冬休み、入試休み・春休み)」と定められています。

元々、実務体験を交えたインターンシップを実施している企業も多いかと思いますが、所要日数については単日または2~3日間の比較的短期間でインターンシップを実施していた企業も多いのではないでしょうか?しかし、この改正により、5日未満の実務体験インターンシップでは、「インターンシップ」という名称で実施できなくなる、という点に注意が必要でしょう。

タイプ4:高度専門型

高度専門型とは、大学院の修士・博士課程学生を対象とした就業体験を指します。文部科学省が策定した実施方針(ガイドライン)に基づいて実施される、理系・博士課程を対象とした有給のインターンシップである「ジョブ型研究インターンシップ」と、現在検討中で文系の修士課程学生を対象した「高度な専門性を重視した修士課程学生向けインターンシップ」(仮称)が該当します。

このタイプは、研究を遂行できる基礎的な素養・能力を持った大学院生が、企業で2ヵ月以上の長期にわたりインターンシップに参加し、その評価を受けて単位を取得する制度となっています。受け入れ企業は事業内容や必要とされる知識、能力などを記したジョブディスクリプションを提示して募集し、インターンシップで得た評価材料などの学生情報は採用選考活動に活用することが可能であることから、タイプ3と同じく、「採用直結型のインターンシップ」と言えるでしょう。

また、先述の通り、この高度専門型タイプにも所要日数や対象者に制約が設けてあります。具体的には、「ジョブ型研究インターンシップ」は2ヶ月以上、「高度な専門性を重視した修士課程学生向けインターンシップ」(仮称)は2週間以上となる予定です。対象者については、前者が理系・博士課程学生、後者が文系の修士課程学生と定められています。

②新定義のインターンシップでは、4つの要件を満たす必要がある

先述の通り、4つのタイプに分類されるインターンシップですが、採用活動に活用できるのはタイプ3(汎用的能力型・専門活用型)とタイプ4(高度専門型)のみです。また、後者を実施するまたはしている企業は多くありませんので、ここからはタイプ3(汎用的能力型・専門活用型)に絞って、その特徴や注意点を見ていきましょう。

先の説明で少し触れましたが、新たにインターンシップとして定義されたタイプ3(汎用的能力型・専門活用型)は、4つの要件を満たすことで、取得情報を採用活動に活用することができます。裏を返せば、以下の4つのいずれかを満たしていない場合は、取得情報を採用活動に活用することはNGとなるため、注意が必要です。

所要日数の半数を超える日数を、職場での就業体験とすること

インターンシップを通じて得た情報を、その後の採用活動に活用するためには、就業体験が必須となります。また、所要日数の半数を超える日数を、その就業体験に費やすことも要件となっています。

例えば、6日間で「汎用的能力型インターンシップ」を実施する場合、半数にあたる3日間以上は職場での就業体験を行わなければならない、ということです。(「専門活用型インターンシップ」の場合は1週間以上)

なお、実施場所は原則として職場と定められていますが、職場以外との組み合わせや、テレワークが常態化している場合は、オンラインでも実施可能とされています。

学業に配慮し、実施可能時期は長期休暇期間中のみ

次に、実施時期についても制約があります。最短でも5日間以上の日数を要する「汎用的能力型・専門活用型」は、学生の学業を配慮し、夏休み・冬休み等の長期休暇期間のみ実施可能となっています。

就業体験中の実務指導や体験後のフィードバックが「必須」に

そして、就業体験中は社員から実務指導を行うことや、体験後にフィードバックを行うことも「必須」と定められています。これは、インターンシップを通じて、学生が職場の実務を実際に体験し、仕事の楽しさ・難しさを認識することで自らのキャリアを考えるきっかけづくりとなるようにするためです。

募集要項について、必要情報を開示する必要あり!

最後に、募集要項について、要件が設定されています。対象者や実施時期・日数はもちろん、プログラムや就業体験内容なども情報開示することが必要となります。

③新定義のインターンシップでは、学生情報を採用活動開始後に活用できる

先述の要件を満たすことができれば、正式に「インターンシップ」という名称で実施することができるだけでなく、取得した学生情報をその後の採用活動に活用することができます。

逆に、タイプ1(オープンカンパニー型)とタイプ2(キャリア教育型)では採用活動に活用することはNGとなるため、企業にとって負担は大きくなりますが、タイプ3(汎用的能力型・専門活用型)のインターンシップを実施することで、インターンシップを採用活動に有効活用できる点は大きなメリットと言えるでしょう。

まとめ:4タイプの特徴とそれぞれの違い

本コラムで解説した4つのタイプの特徴とそれぞれの違いを表にまとめました。ぜひご参考ください。

※引用:文部科学省・厚生労働省・経済産業省「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」

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この記事の監修・筆者

大園 羅文
大園 羅文(株)新経営サービス コンサルタント
「採用・定着コンサルタント」として、中堅・中小企業を対象とした人材採用支援(新卒・中途)、若手人材の定着・即戦力化支援、人事制度の構築・運用支援に従事。 特に、『採用・定着力の強化』を得意テーマとしており、中小企業独自の問題に対する支援を通じて、“若手社員が辞めない・成長する組織づくり”をテーマに掲げている。
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